じゃあ僕が」妻の姓に変えて分かった経済的不利益 サイボウズの青野慶久社長が語る

サイボウズの青野慶久社長=東京・日本橋、早坂元興撮影

「じゃあ僕が」妻の姓に変えて分かった経済的不利益

夫婦別姓を選べない戸籍法は男女平等を定めた憲法に反するとして、ソフトウェア会社「サイボウズ」(東京)の青野慶久社長(46)らが来春、国を相手に裁判を起こす準備を進めている。日本人と外国人の結婚では夫婦別姓を選べるのに、日本人同士だと同姓しか選べないという戸籍法の「法の不備」を突く訴訟になるという。選択的夫婦別姓にかける思いを青野氏に聞いた。

――実業界では「青野慶久」で活動していますが、本名は「西端慶久」。妻の姓を選んだ経緯は。

2001年に結婚した時、妻が希望したからです。一人っ子だったとか、ご両親が望んだとかではなく、「自分が『家に入る』というのがいやだ」ということでした。じゃあ僕が変えるわ、と。

当時すでに「青野」で上場企業の役員として名前も出ていたんですが、名前が二つあったら面白いと思いました。偵察のため、ライバル企業の展示会に申し込む時は実名を使った、なんてこともありました。

実は、抵抗がなかったわけではないのですが、それよりも好奇心が勝ってしまった。男性で名字を変えたら、会社のPRのネタにも使えると思いました。名字を変えるということが何を意味するか、当時はよくわかっていませんでした。

■株式の名義変更に300万円「ごめん」

――実際変えてみて、どうだったのか。

これはもう、不利益しかない。クレジットカード、銀行のカード、証券も全部やり直しです。株式の名義変更には、300万円かかりました。後で会社の経理から「名義変更、すごいお金かかりました」と言われて、「ごめん、興味本位だったんだ……」と。

これらは一過性のものですが、その後も常にコストがかかり続けています。海外出張でホテルや航空券をとってもらう時も、「青野」だとパスポートの姓と異なるから、マイレージもつかない。海外でホテルに泊まり損ねたこともありました。